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エスカレーターの構造や決まりについて徹底解説!
本記事ではエスカレーターの構造について、基本的な法律での決まり事やパーツ、駆動の仕組みなどに分けて解説します。新たにエスカレーターを設置しようと考えている方は必見の内容です。

エスカレーターの構造には細密な規制があり、それを守って設置することが義務付けられています。駆動パーツや安全装置、ステップや装飾パーツに関する構造を知っておくと、エスカレーターの設置を考えたときに、設置可能か把握できるでしょう。
- エスカレーターの構造について|基本の決まりごとは?
- 基本的な構造の決まりは法律で定められている
- 勾配に関する構造の決まりもある
- 安全装置の規定は2種類ある
- ステップの高さは決まっていない
- エスカレーターの構造について|パーツ編
- 駆動パーツ
- 安全装置
- 階段やステップ
- 装飾パーツ
- エスカレーターの構造について|駆動の仕組みは2種類
- エスカレーターの構造についてよくある質問
- エスカレーターの構造について相談したい方はマーキュリーエレベータへ
エスカレーターの構造について|基本の決まりごとは?
エスカレーターの構造は、建築基準法をはじめとした法令や国土交通大臣による告示により規制されています。
基本的な構造の決まりは法律、行政規則、告示等で定められている
エスカレーターの構造は、建築基準法施行令第129条の12や、関連する告示などで定められています。これらの具体的かつ詳細な規定は、多くの人を安全かつ効率よく輸送するために不可欠な要素です。
● 利用時の安全確保
● 勾配角度の制限
● 踏段と手すりの連動
● 踏段や手すりの寸法
● 移動速度の制限
● 構造の認定基準
また、各市町村で条例によって規制されている場合もあります。
勾配に関する構造の決まりもある
エスカレーターは勾配によって、速度や高さに規定があります。
特に細かいのは、使用時の最大速度を表す定格速度です。
勾配 | 定格速度 | 分類 | 高さ制限 |
8度以下 | 50m/分以下 | なし | 動く歩道 |
8度から15度以下で踏板が水平ではない | 45m/分以下 | なし | 動く歩道 |
8度から30度以下で踏板が水平 | 45m/分以下 | なし | エスカレーター |
30度を超えから35度以下 | 30m/分以下 | 6m以内 | エスカレーター |
利用者の安全に直結する角度や速度は、厳しく制限されています。
安全装置の規定は2種類ある
エスカレーターの安全装置には、法的なものとメーカー独自のものがあります。
代表的なものをいくつか紹介します。
● インレット安全装置
● 非常停止装置
● スカートガード安全装置
● ステップチェーン安全装置
● 電磁ブレーキ
● ハンドレール停止検出装置
これ以外にも挟まれ事故への対応として、さまざまな装置や基準があり、乗客の安全を確保しています。
ステップの高さは決まっていない
細かな規定が多いエスカレーターですが、ステップの高さに決まりはありません。しかし、多くのメーカーが20cm程度を採用しています。
これは、公共施設の一般的な階段の高さである18cm以下に近づけることで、昇降がスムーズになり、利用者が感じる負担を軽減する効果が見込めます。またメーカーは、高さの統一で部品が共通化できるというメリットがあります。
エスカレーターの構造について|パーツ編
ここからは、エスカレーターの構造において、不可欠なパーツを役割ごとに紹介します。
駆動パーツ
駆動パーツは、エスカレーターの動作を支える主要部品です。これらは、ステップを上昇または下降させる動力を生み出しています。
以下に挙げるものが、主な駆動パーツです。
名称 | 役割 |
駆動機(モーター) | エスカレーター全体を動かす動力を提供する機器 |
駆動チェーン・階段チェーン | エスカレーターのステップや手すりを上昇・下降させる鎖 |
駆動輪・従動輪 | モーターの動力を階段チェーンに伝える歯車 |
モーターの回転が駆動輪や従動輪に伝わります。この力が階段チェーンに伝わって、エレベーターのステップがスムーズに動作しています。
安全装置
エスカレーターには、法律で規定された以外にも多くの安全装置が設置されています。
これらは、あらゆる異常を検知して対応できる仕組みになっています。
名称 | 役割 |
駆動チェーン切断検出装置 | 駆動チェーンの切断を検知する |
防火シャッター連動装置 | 乗降口の防火シャッターが閉じ始めるのと同時にエスカレーターを停止する |
踏段異常検出装置 | 踏段(ステップ)の異常を検知する |
電気回路保護装置 | 機器のショートや過負荷がかかったときに停止する |
これらを含めた多くの安全装置は、利用者の安全を守る重要な役割を果たしています。
階段やステップ
エスカレーターは、階段とは異なる基準で作られています。
これは昇降機として、手すりにつかまり立ち止まっての利用を前提に設計しているからです。
階段は、建築基準法で一段の高さや踏面の奥行き・幅・踊り場の設置に規定があります。一方、エスカレーターは幅に制限があるものの、高さや踏面に制限はありません。階段に近い高さや踏面に設定されているのは、利用者の心理的負担を考慮した結果です。
エスカレーターのステップは段差が大きく側面もカーブしているため、歩行はつまずきや踏み外しの危険性があり、注意が必要です。
装飾パーツ
視覚的な美しさとともに安全性を高めているのが、エスカレーターの側面やステップで見られる装飾パーツです。
● 保護板:人がエスカレーターと建物のすき間に挟まるのを防ぐ
● 黄色注意標識:黄色いラインで注意喚起を促し、踏み外しや巻き込みのリスクを低減する
装飾パーツは、エスカレーターの外観を整えるだけでなく、利用者に安心感を与える役割も果たしています。
エスカレーターの構造について|駆動の仕組みは2種類
エスカレーターを駆動する方法として、主に上部駆動式と中間駆動式の2種類があります。
上部駆動式は、エスカレーター上部の機械室に設置されたモーターと歯車が、チェーンを巻き上げてステップを動かす基本的な駆動方式です。一方、中間駆動式は、エスカレーターの中間に駆動装置が複数個設置する方式です。これはエスカレーターが長くなっても駆動装置が小さくて済むというメリットがあります。
駆動方法は、設置場所やエスカレーターの長さなど、条件に応じて適切なものを選択します。
エスカレーターの構造についてよくある質問
Q.最大勾配はなぜ35度なの?
A.利用者の心理的な負担に配慮した結果です。設置の負担も考慮されています。
Q.片側空けは構造上、推奨される?されない?
A.安全性と輸送効率の観点から、一般的には推奨されていません。エスカレーターの横幅を狭くすると、ほかの利用者との接触による事故の危険性が高まります。また、輸送人数が多い場合は効率が下がってしまいます。
エスカレーターの構造について相談したい方はマーキュリーエレベータへ
エスカレーターを設置・運用するには、法令遵守はもちろん構造や駆動方法、構成するパーツなど、さまざまな知識を有する必要があります。特に、安全面は熟知していなければ、利用者が安心できる設備は整えられません。
「エスカレーター設置前に、構造について知っておきたい」「一番適したエスカレーターを設置したい」「メンテナンスやリニューアルについて相談したい」などのご要望があるなら、豊富な知識と経験を持つマーキュリーエレベータにぜひご相談ください。